更新日:2024年5月7日

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DVとは

DVとは、「domestic violence(ドメスティック バイオレンス)」の略で、「配偶者(事実婚や同棲を含む)や恋人など、親密な関係にある、または関係にあったものから振るわれるあらゆる形の暴力」という意味で使用されています。身体的暴力だけでなく、精神的、性的、経済的、社会的な暴力などがあります。DVは被害者の多くが女性であり、女性の人権を著しく侵害する社会的問題です。また、DVは繰り返され、エスカレートする傾向があり、家庭内で起こることから、被害者は孤立しがちです。

だからこそ、女性自身が、DVに気づき、早めに相談すること、そして、関係機関が連携し、適切な対応を行うことが大切となります。

「DV」の形態

一口に「暴力」といっても様々な形態が存在します。これらの暴力は単独で起きることもありますが、多くは何種類かの暴力が重なって起こっています。
また、ある行為が複数の暴力に該当する場合もあります。

身体的暴力

殴る、たたく、蹴る、腕をつかむ、髪をひっぱる、物を投げつけるなど

精神的な暴力

無視する、大声で怒鳴るなど

性的暴力

嫌がっているのに裸等を撮影する、中絶を強要するなど

経済的暴力

生活費を渡さない、洋服などを買わせない、仕事をさせない

子どもを利用した暴力

子どもに暴力をふるうと言って脅かす、子どもを危険な状況に遭わせるなど

社会的暴力

交友関係や実家との付き合い、メールの内容等を細かく監視する

 

DVの特徴

被害者に与える影響

暴力を振るわれた本人は心身に深いキズを残します。
被害者は暴力により、外傷、あざ、打撲、火傷、骨折などの身体的な影響を受けるだけにとどまらず、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に陥るなど、精神的な影響を受けることもあります。

なぜ逃げる事が出来ないのか

DVの被害者には、共通してみられる心理状態や状況があり、これらのために被害者が暴力から逃げることを難しくしています。

【恐怖感】
被害者は、「逃げたら殺されるかもしれない」という強い恐怖から、家を出る決心がつかないこともあります。

【無力感】
被害者は暴力を振るわれ続けることにより、「自分は夫から離れることができない」「助けてくれる人は誰もいない」といった無気力状態に陥ることもあります。

【複雑な心理】
「暴力を振るうのは私のことを愛しているからだ」「いつか変わってくれるのではないか」との思いから、被害者であることを自覚することが困難になっていることもあります。

【自己肯定感の喪失】
暴力を受けるのは、「自分が悪いから」「自分が相手を怒らせるようなことをしたから」などと考え、自分に自信が持てなくなり、自己肯定感を失っていることもあります。

【経済的問題】
夫の収入がなければ生活することが困難な場合は、今後の生活を考え逃げることができないこともあります。

【子どもの問題】
子どもがいる場合は、子どもの安全や就学の問題などが気にかかり、逃げることに踏み切れないこともあります。

【失うもの】
夫から逃げる場合、仕事を辞めなければならなかったり、これまで築いた地域社会での人間関係など失うものが大きいこともあります。

 

被害者は、繰り返される暴力の中で無気力状態になってしまったり、さまざまな不安や心配が理由となって、DVから逃げることができなくなってしまいます。

子どもに与える影響

子どもの見ている前で夫婦間で暴力を振るうこと(面前DV)は子どもへの心理的虐待にあたります。
また、DV被害を受けている人は、加害者に対する恐怖心などから、子どもに対する暴力を制止することが困難な場合があります。

暴力を目撃したことによって、子どもに様々な心身の症状が表れることもあります。また、暴力を目撃しながら育った子どもは、自分が育った家庭での人間関係のパターンから、感情表現や問題解決の手段として暴力を用いることを学習することもあります。

加害者のタイプ

暴力を振るう加害者については、一定のタイプはなく、年齢、学歴、職種、年収に関係がありません。

人当たりが良く、社会的信用もあり、周囲の人からは「家で妻に対して暴力を振るっているとは想像できない」と思われている人もいます。
加害者の中には、家庭という密室の中でのみ暴力を振るう人もいますが、普段から誰に対しても暴力的で、見知らぬ人に対しても言いがかりをつけて暴力を振るう人もいます。
また、アルコール依存や薬物依存、精神障害等が関連して暴力を振るっていると考えられる人もいます。加害者が暴力を振るう理由は様々あると考えられますが、その背景には社会における男尊女卑の考え方の残存があると言われています。